禿鷹の巣

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エグゾディア揃うまで帰れない話



昔の話だ。

僕が小学生のころ初代アニメ遊戯王が大人気であり毎週の楽しみが遊戯王カードで戯れるのが日課であった。

アニメ初回放送でいきなり最強の勝ち方、エグゾディアが登場した。

これに少年たちは心躍った。
闇遊戯のカッコよさはもとより「最強のドラゴン、ブルーアイズですら!!」という最強の概念がすぐに打ち砕かれたのだ。

しかし、当時の僕にはお金が無かった。(今も)
1万円あったら一生暮らせるんじゃないか?という金銭感覚であり、当時のエグゾディアは揃えるのに確か3000円はかかったと記憶している。多分

で、もう金もないし誰も集めようとしなかった。
そりゃそうでブルーアイズの方がかっこいいし、ほぼブルーアイズを持つこと=人権みたいなところがあった。

しかし、アニメ開始2年後くらいにどうも諦めの悪い友人Tが放課後、一枚のカードを持って僕に持ち掛けてきた。

T「これでエグゾディアをそろえてみやんか?」

それはボロボロの”エグゾディアの右手”だった。

僕「こ...れは?」

T「なんか落ちてた」
今思えば手癖の悪い子だったのかもしれない。
だが、この一枚ではエグゾディアは揃わない。
エグゾディアは5枚揃ってエグゾディア。右手だけでも当時の僕たちの認識では”ブルーアイズに匹敵しないけどブラックマジシャンくらい”の強さというよくわからない認識だった。

僕「でも、これだけやったら揃わへん、勝たれへん、人食い虫の方が強い」

T「じゃあ、こうすればいい!」

返事は予想していたのだろう、彼は唐突にポケットからカード(挟み撃ち)を取り出し、あろうことかマジックペンで”ふういんされしエグゾディアの左手”と汚い字で書きだした。

ぽかんとする僕を横目にTはそれから3枚のあまり使わないだろうカードにエグゾディアパーツの名称を書き続けた。

これが後に言われる”プロキシ”というものだろう。

彼は気づいたのだ、何かしらの理由でカードを入手できないのであれば盗むか作ればよいと。

これにより、ボロボロだが本物の封印されしエグゾディアの右手とプロキシのエグゾディアパーツが手に入った。

ここからタイトル回収。
Tも僕もアホだから「じゃあエグゾディア揃えよか」と途方もない地獄へと足を踏み入れることになる。

学校だと気分が盛り上がらないということで土曜日の授業が終わったらT宅で遊ぶことにした。(吉本新喜劇を見終えてからゆっくりして2時かそこいらだったと思う)

ルールは以下の通り


  • ちゃんとシャッフルすること
  • ちゃんとデュエルしてライフ2000を削ること(当時ライフ2000だった)

ルールは単純明快だった。
当時強欲な壺も現役、サイバーポッドも現役だったからひたすらにドローすれば揃うはずだった。そういう手はずだった。

でも、Tのエグゾディアは揃わず僕のジャッジマンとエルフの剣士に殴られては「もう一回!」とやり続けていた。

もういっそ不正とかしてくれんかな
そう僕が思い始めたのが開始して2時間たった頃だ。

そろそろ門限も近いし帰りたくなっていた頃に何かに気づいたTは叫んだ
「もっと入れればええねん!!」
当時リミットレギュレーションとかそういうのは知らなかったので3枚までのルールさえ守れば良いというファジーさで遊んでいたのでTはエグゾディアパーツの大量投入を始めた。
何故か強欲な壺にもエグゾディアの右足と書いてあってアホなんだなあと思っていた。

そこから門限近くまで回したが揃わなかったので
僕「ほな、そろそろ帰るわ」
T「待ってや、頼むから」
電話を借りて親に電話し許可を貰いエグゾディアを揃えるという偉業の目撃者になろうと、またデュエルを始めた。

結局電話した数分後にエグゾディアは揃った。
T「怒りの豪火!エグゾードフレイム!!」

彼がこの数時間で初めて勝利した瞬間だった。

僕はTと遊ぶのを控えようと思った。

昔の話だ。